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浸炭窒化処理|低炭素鋼の表面硬化処理

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低炭素鋼 の表面硬度と耐摩耗性を向上させるために、カーボナイトライジング処理(Carbonitriding) は非常に有効な熱処理方法です。炭素(C)と窒素(N)を同時に鋼表面に拡散させることで、硬度と靭性を兼ね備えた強靭な表面層を形成し、通常の浸炭処理よりも高い耐疲労性を実現します。このプロセスは、交番荷重・回転応力・長期摩擦にさらされる ギヤ、スピンドル、ブッシュ などの機械部品に最適です。

プロセスの原理
カーボナイトライジング処理(Carbonitriding) は、炭素源ガスとアンモニア(NH₃) を含む雰囲気中で 730~900°C に加熱し、炭素と窒素原子を鋼表面に同時に拡散させるプロセスです。その後、急冷(Quenching) により鋼組織が マルテンサイト(Martensite) に変化し、高い硬度と耐衝撃性を発揮します。処理後の表面には Fe–C–N化合物層(Compound Layer) が形成され、微細で高硬度な構造を持ち、摩耗や疲労に強く、一般的な焼入れに比べて表面割れが起きにくい特性を持ちます。

処理後の特性
表面硬度:600~750 HV
微細な マルテンサイト組織 により高強度かつ高靭性を実現
カーボナイトライド層(Carburized–Nitrided Layer) の密着性が高く、剥離しにくい
耐疲労性・耐腐食性 が向上
芯部は靭性を保持し、内部破壊を防止

適用材料
カーボナイトライジング処理(Carbonitriding) は、表面硬度と芯部靭性のバランスが求められる鋼材に最適です。
低炭素鋼(Low Carbon Steel)
低合金鋼(Low Alloy Steel)
代表材質:S10C, S20C, SCM420, SCR420 — 交番応力や回転応力を受ける部品に適用。

用途と適用例
自動車・機械・エネルギー産業の 高負荷部品 に広く使用されています。
ギヤ(Gear)・ブッシュ(Bushing): 高い耐摩耗性と耐疲労性を発揮。
スピンドル(Spindle): 表面硬度と寸法精度が要求される部品。
ロール(Roll): 長期運転での耐摩耗性と耐久性を確保。
最大 760 × 1230 × 720 mm の大型部品まで処理可能で、中~大型量産ラインにも対応します。

まとめ
カーボナイトライジング処理(Carbonitriding) は、特に 低炭素鋼 向けに設計された表面硬化プロセスです。730~900°C の温度範囲で、炭素と窒素の比率を精密に制御することにより、600~750 HV の高硬度層を形成。微細で靭性のあるマルテンサイト構造が、耐摩耗性・耐疲労性 を大幅に向上させます。ギヤ・ブッシュ・ロール・スピンドル などの高負荷部品に最適な処理です。

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