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現場が納得する予兆管理——ポンプ振動で捉える「交換の前触れ」の見える化入門

この7月、タイではモンスーン期の増水に備えて各地で排水ポンプの動員が進みました。洪水と渇水が交互に襲う水問題は経済全体の課題としても注目され、国家レベルの投資計画が議論されています。こうした環境では、ポンプの止まり時間を最小化し、異常の「前触れ」を早くつかむことが重要になります。 タイ東部のEECをはじめ製造投資は継続しており、回転機の安定稼働は現場の共通テーマです。水処理やユーティリティの負荷変動が大きい時期ほど、感覚頼みの点検だけでは手遅れになりがちです。私たちは、まず「振動を数値で持つ」ことから始めることをおすすめします。 ============================ ■なぜ不具合の兆しを見落とすのか ============================ ポンプは、運転条件が一定に見えても、吸込側の気泡混入や固形物の通過、片側だけの摩耗など、微妙な変化が日々起きます。これらは小さな振動の増大として先に現れ、目視点検や音の印象よりも早く兆しを出します。とくにキャビテーション※や不釣り合い※、軸ずれ※は、最初は「少しうるさい」「配管がビリつく」程度で見過ごされやすいものです。負荷が上下しやすい季節やライン切替が多い現場では、この「見過ごし」が累積し、予定外停止の引き金になります。 従来の「定期交換」一辺倒や「異音がしたら点検」は、安全側に見えて実はムラを生みます。早すぎる交換はコストが嵩み、遅すぎる判断は二次損傷を呼びます。だからこそ、感覚に「数値」という基準を足し、同じ指標で同じ場所を追跡することが有効です。昭和測器株式会社として、この一点をまず押さえることを現場の方にお伝えしたいと考えています。 ============================ ■“感覚+数値”の二刀流が現場を強くする ============================ 振動を数値で持つと、日々の小さな変化がグラフの「勾配」として見えます。急に悪くなったのか、ゆっくり進行しているのかが区別でき、交換・停止の判断が落ち着きます。保全会社や運転側、マネジメントとも「同じ物差し」で話せるようになり、説明や合意形成がスムーズになります。結果として、交換の先送りや早すぎる交換を防ぎ、目指すのは“止めないために止める”—計画停止への置き換えです。 また、タイの現場事情では高温多湿や雨期の負荷変動が避けにくい一方、設備の入替や投資判断は慎重です。だから最初はスモールスタートで構いません。重要ポンプを1〜2台だけ選び、同じ測点・同じ条件で数値を持つ。そこから十分な学びが得られます。 ============================ ■昭和測器の支援:最初の一歩を、確実に ============================ 昭和測器株式会社は、振動計測の専業メーカーとして、数値化の“最初の一台”選びと使い始めのコツを丁寧にご案内します。水・排水、化学、発電など、回転機の現場は環境差が大きいものです。昭和測器では、濡れやすい設置環境や防爆エリアの有無、測定頻度と人員体制を伺い、持ち運びしやすいタイプから据置監視まで、過不足のない選定をお手伝いします。 導入後も、現場で迷いやすい「どの場所で」「どのタイミングで」測るかといった基本設計について、運用しやすい型を一緒に整えます。タイの代理店とも連携し、保全担当の方がすぐに役立てられる形でサポートいたします。昭和測器株式会社として、無理のないステップで“感覚+数値”の二刀流を根づかせることをお約束します。 ============================ ■最後に、私たちがお伝えしたいこと ============================ 止めない現場は、難しいテクニックよりも「同じ物差しで変化を追う」習慣から生まれます。昭和測器株式会社は、その最適な一台の選定と最初の使い方のコツで、今日からの一歩を確実にします。 ------------------------------------------------------------ 【監修】昭和測器株式会社 営業部 振動計測アドバイザー まずは重要ポンプの“いつも同じ場所・同じ条件”を決め、月次のグラフで変化を見ましょう。 異音より先に出る小さな振動の増え方に気づければ、停止は「計画」に変えられます。 ------------------------------------------------------------ 📩 記事下のEMIDASフォームからお問い合わせいただくか、PDFをダウンロードしてご確認ください。 Download (PDF): 👉 振動計 デジバイブロ Model-1332B カタログ(無料ダウンロード)  https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7283 👉 振動監視センサ Model-2502 カタログ(無料ダウンロード)  https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7284 👉 デジタルモニタ Model-2590C カタログ(無料ダウンロード)  https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7535 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【用語解説】 ※キャビテーション:液体中に気泡が発生・崩壊し、圧力変動と振動・騒音を引き起こす現象。 ※不釣り合い:回転体の質量偏りで回転中心がぶれ、周期的な振動が増える状態。 ※軸ずれ:モーターとポンプの軸芯がずれて接合され、振動やシール摩耗を招く状態。 ※予兆管理:異常が顕在化する前段階の変化を追い、計画停止や交換に結びつける管理手法。 ※数値化:感覚的評価に加えて、同じ指標で同じ測点を継続記録し、比較可能にすること。 【参考文献】 - The Nation Thailand, “ONWR mobilises pumps and machinery to brace for Tropical Storm Wipha”, 2025-07-20. - The Nation Thailand, “World Bank warns Thailand to accelerate water management investment”, 2025-06-13. - Eastern Economic Corridor Office (EECO), “EEC unlocks potential for investors”, 2024-07-08. - The Nation Thailand, “EEC incentive package aims to boost FDI”, 2024-07-04. - Bangkok Post, “Dealing with the deluge: climate-driven flood risks and industry”, 2024-10-21. (作成日: 2025-09-19)

CNCの停止を未然に防ぐ——工作機械モーター振動のしきい値設計と保全KPI

CNCの停止を避ける鍵は、P-F曲線※でいう「P点」より前に兆候を数値で捉えることです。工作機械は仕上げ品質と寸法精度が命。ISO 10816/20816※の一般的なゾーンより厳しい社内しきい値が求められます。タイでは雨季の高湿・粉塵環境※、EEC※での量産要求、指定工場※のエネルギー管理の流れが重なり、突発停止とエネルギーロスの同時最小化が実務テーマになりやすい状況です。 私たちは、まず「何を守るか」を定義します。寸法・面粗さ・工具寿命か、生産タクトか。目的が定まれば、振動を“機械を守る値”ではなく“品質と稼働率を守る値”として設計できます。ここが出発点です。 ============================ ■ なぜ「許容していた振動」が停止を呼ぶのか ============================ 根本には、芯出し不良・不釣合い・緩み・ベルトやカップリングの偏摩耗、そして軸受の微小はく離が潜みます。工作機械では土台剛性や送り系の固有振動が重なり、サーボや主軸の制御帯域に励起が乗ると一気に面粗さ悪化やびびりへ波及します。雨季の高湿は微小腐食や潤滑劣化を促し、粉塵はシールを越えて軸受内部へ到達。結果として、RMS速度※の“少しの上振れ”が、ある日を境に急勾配で増える現象につながります。 従来、「音と手感」での判断は職人技として有効でした。ただ、交代勤務や多国籍チームでは属人化の壁が高い。だからこそ、測定点・計測条件を固定し、同じ単位(mm/s)で語れる“共通言語”を持つことが重要になります。 ============================ ■ しきい値は二段構えで設計する ============================ 推奨は「品質しきい値」と「保護しきい値」の二段構えです。 品質しきい値:ISOゾーン※より低めの独自基準。面粗さ・真円度の乱れや工具摩耗の初期兆候を逃さない設定。 保護しきい値:設備保護と安全停機を目的に、標準に整合する上限値。急上昇(勾配)監視も必須です。 監視量は、全体傾向を見るRMS速度(mm/s)※+原因切り分け用の周波数領域。軸受系はBPFO/BPFI※や高周波包絡※、回転系は一次成分とその高調波、取り付けや緩みは1×のサイドバンドや広帯域上昇に現れます。ベースラインは「据付直後」「主軸オーバーホール直後」「代表切削条件」で必ず取得。たとえ良好値でも、1~3か月で微増する機械は“増え方”こそがKPIです。 保全KPIの設計例として、①品質しきい値超過率(ライン別・班別)、②振動アラームから是正完了までの平均回復時間、③振動是正後の工具寿命改善率、④振動是正に伴う電力あたり除去体積(MRR/kWh)の改善率、を挙げます。いずれもCNCの停止回避とエネルギー管理の両立を可視化できます。 ============================ ■ 昭和測器の支援:最適な一台と、最初のコツ ============================ 昭和測器では、現場の制約(防滴・配線距離・磁石ベース可否・I/O連携の有無)を踏まえ、主軸や送りモーター周辺に適切な測定点を設計し、必要十分なレンジと周波数帯を持つ振動計を選定します。最初は“測り過ぎない”ことが肝心。品質しきい値はベースラインの±差で、保護しきい値は設備仕様とISOゾーンを参照。これを一台で始め、成果を確認してから常時監視に拡張する段取りをおすすめします。 昭和測器株式会社として、私たちは「最適な一台を選ぶお手伝い」と「最初の使い方のコツ」の提供に徹します。現地の代理店とも連携し、センサー固定やケーブル取り回しの注意点、騒音源との干渉回避といった立上げの落とし穴を事前に共有します。量産のスピードが求められるEECの現場でも、数値という共通言語がチームの意思決定を速くします。昭和測器株式会社は、その最初の一歩をご一緒します。 ============================ ■ 最後に、私たちがお伝えしたいこと ============================ 突発停止と品質ばらつきを同時に抑える近道は、“数値で語れる二段しきい値”と、それを活かす最適な一台の選定です。昭和測器株式会社に、まずは現場条件と目標KPIをお聞かせください。 📩 記事下のEMIDASフォームからお問い合わせいただくか、PDFをダウンロードしてご確認ください。 ■ Download (PDF) 👉 MODEL-1332B:「据付直後やオーバーホール後のベースライン測定に」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7283 👉 MODEL-2502:「振動を常時監視し、KPIに直結させるために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7284 👉 MODEL-2590C:「現場の制御盤でアラーム表示し、停止を未然に防ぐために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7535 ------------------------------------------------------------ 【監修】昭和測器株式会社 営業部 振動計測アドバイザー ・据付直後のベースラインは「同じ姿勢・同じトルク・同じ回転数」で統一しましょう。 ・アラーム値より“増え方”を重視。小さな傾きが、停止を一件減らします。 ------------------------------------------------------------ 【用語解説】 ※P-F曲線:潜在故障(P)から機能停止(F)までの時間軸で劣化進行を示すモデル。 ※ISO 10816/20816:産業機械の振動評価基準。主にベアリングハウジングなど非回転部でのRMS速度で評価。 ※RMS速度(mm/s):振動エネルギーを表す代表値。全体傾向の監視に用いる。 ※EEC:Eastern Economic Corridor。タイ東部の産業開発地域。 ※指定工場:エネルギー管理実施を義務づけられた工場類型。 ※BPFO/BPFI:転がり軸受の外輪/内輪通過周波数。欠陥診断の指標。 ※高周波包絡:高周波帯の衝撃成分を包絡処理して微小欠陥の検出感度を高める手法。 【参考文献】 - ISO 20816-3:2022 概要(産業機械の振動評価と適用範囲)。 - ISO 10816-3:2009 背景資料(評価基準と測定部位の考え方)。 - 工作機械は一般機械より低振動が望ましいとの実務的解説。 - タイの雨季(5–10月)と降雨・湿度の基礎データ。 - タイの相対湿度動向に関する近年の学術分析。 - タイの指定工場・建物に対するエネルギー管理義務の条項(英訳)。 - エネルギー管理制度の運用解説(資料)。 - EECの投資促進とインセンティブに関する近年の発表。 - EEC経済レポート(2025年Q1)サマリー。 - 転がり軸受の故障周波数に関する基礎解説。 (作成日 : 2025-09-10)

突発停止の“前兆”を数値で掴む——工作機械のモーター異常を稼働中に見抜く実務ガイド

工作機械の現場では、主軸や送り、クーラントや油圧のポンプまで、大小のモーターが一日中回り続けます。高温多湿、切削液のミスト、微細な切粉。こうした環境は軸受やシールに負担をかけ、わずかな振動の変化が「P-F曲線※」でいう初期劣化の始点になります。問題は、その変化が耳や勘では拾いきれないほど小さく、気づいた時には生産計画が崩れる点です。 タイでは設備投資を促す制度が続く一方、需要変動の波も大きく、突発停止は想定以上の損失につながりがちです。だからこそ、稼働を止めずにモーターの健康状態を数値で把握する実務が、保全の主戦場になります。昭和測器株式会社として、私たちはその入り口をわかりやすく整理しました。 ============================ ■なぜモーターは壊れるのか——現場を悩ませる“見えない三重苦” ============================ モーター故障の多くは、①潤滑不全や汚染による軸受ダメージ、②芯出し不良やベース緩みの力学的な偏り、③インバータ※駆動に起因する共振※や電食といった電気機械連成、の三つが絡みます。高湿度や温度変動はグリースの劣化と腐食を速め、切削液や粉塵はシールを越えて内部に入り込みます。耳で感じる「音」や手で触れる「熱」は、F(機能喪失)にかなり近づいてから強く現れます。従来の定期点検だけでは、P(潜在故障の発生)直後の微細な兆候を捕まえにくいのです。 さらに、CNCの高応答化に合わせてモーターは負荷変動が激しくなり、瞬間的なトルク脈動や回転むらが発生します。これらは短時間・狭帯域の振動として現れるため、感覚では「ノイズ」に紛れてしまいます。結果として、ベアリングのピットやケージ損傷が進行してから異常に気づく——現場担当が最も避けたい展開です。 ============================ ■感覚から“共通言語”へ——振動を数値で持つことの効果 ============================ 私たちが重視するのは、「小さい変化を、同じ物差しで、同じ場所で」見ることです。加速度・速度といった単位系をそろえ、基準面※や設置状態を一定化すると、設備Aと設備B、今日と先月を公正に比べられます。これが保全・生産・品質の三者で通じる“共通言語”になります。 数値化の利点は三つ。第一に、P点直後のごく小さな変化でもトレンドとして積み上がるため、余裕を持った計画停止に変えられます。第二に、変動要因(季節湿度、稼働率、工具条件)を同じ尺度で評価でき、ムダなグリース補給や過剰分解を減らせます。第三に、ISOの振動評価指針※のような客観的な境界を参照しやすく、設備更新やBOIの投資判断の内部稟議が通しやすくなります。昭和測器株式会社では、この“共通言語化”を最短距離で実現する測定点の考え方と道具選びを、現場目線で提案します。 ============================ ■昭和測器ができること——最適な一台と、最初の一歩のコツ ============================ 昭和測器株式会社は、はじめての振動数値化でも躓かないよう「使う人」「環境」「機械構造」の三点で設計します。例えば、高温多湿や切削ミストが厳しい現場には耐環境のセンサ選定と取り付け治具の工夫を、インバータ駆動モーターには電食※や共振帯域を意識した評価レンジを提案します。携帯型での定点巡回か、重要軸だけの常時監視か。OEEや段取りに響かない落としどころを、一緒に見つけます。 「最適な一台を選ぶお手伝いをします」「最初の使い方のコツをアドバイスします」。私たちはこの範囲に責任を持ちます。必要に応じて現地の代理店と連携し、据付やネットワーク構成など周辺事項はスムーズに橋渡しします。結果として、工作機械の主軸モーター、送り用サーボ、クーラント・油圧ポンプの“前兆”を、稼働中のまま見抜く体制が整います。タイ特有の高温多湿や需要変動の中でも、止めない、焦らない、ムダを出さない。昭和測器では、その第一歩を確かな手応えで支援します。 ============================ ■最後に、私たちがお伝えしたいこと ============================ 突発停止の不安を“数値の安心”に変える設計から始めましょう。昭和測器株式会社が、現場に合った一台と運用の勘所をご提案します。 📩 記事下のEMIDASフォームからお問い合わせいただくか、PDFをダウンロードしてご確認ください。 ■ Download (PDF) 👉 MODEL-1332B:「据付直後や定期点検時にベースラインを確立し、微小な変化を捉えるために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7283 👉 MODEL-2502:「稼働中のモーターを常時監視し、状態基準保全とKPI設計に活かすために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7284 👉 MODEL-2590C:「制御盤で数値を見える化し、異常兆候を現場で即時に共有するために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7535 ------------------------------------------------------------ 【監修】昭和測器株式会社 営業部 振動計測アドバイザー 明日の点検から、同じ場所・同じ向き・同じ荷重条件で測る習慣を始めてください。トレンドは“整える”ほど価値が出ます。 高湿度の日は潤滑とシールの状態に一言メモを。数値に現れない違和感も、資産になります。 ------------------------------------------------------------ 【用語解説】 ※P-F曲線:潜在故障(P)発生から機能喪失(F)までの時間経過を示すモデル。 ※インバータ:交流モーターの回転数・トルクを可変制御する装置。電磁ノイズやスイッチング周波数の影響が振動に現れる場合があります。 ※共振:外力の周波数と構造の固有振動数が一致し、振幅が増大する現象。 ※基準面:測定値の比較に用いる取り付け面・測定点・姿勢の基準。 ※ISOの振動評価指針:一般産業機械の実効振動値を等級化する国際標準群(例:ISO 10816/20816 など)。 ※電食:モーター軸受に電流が流れ、表面損傷やフレーキングを引き起こす現象。 【参考文献】 - Thailand BOI: Extension to end-2025 of investment promotion packages(投資優遇の延長に関する公式発表). - OSOS/BOI “Investment Promotion Guide 2025”(機械設備投資に関するガイド). - Reuters: Thai auto sector reels from falling orders and soaring household debt(需要減速が製造業に与える影響の背景)。 - Reuters: Thailand approves incentives for auto-parts JVs; Hyundai EV investment(サプライチェーン再編と投資動向)。 - Nation Thailand: EEC関連の最新動向(産業集積の広がり)。 - MTD CNC: Thailand’s manufacturing sector faces challenges(生産指数と能力稼働の低下)。 - ORAPI Asia: Common causes of bearing failure(高湿度・汚染が軸受に与える影響)。 オラピア시아 - NSK Americas: Environmental considerations in bearing selection(湿度や温度に応じた対策の概説)。 (作成日 : 2025-09-10)

工作機械のモーター、なぜ突然止まる?――「計画停止」のための予兆管理入門

チョンブリーのCNC工場、夜勤。仕上げ工程のマシニングセンタで、スピンドルの回転がふっと鈍り、制御盤に小さな警告灯。作業者は耳で異音を捉え、いったん停止。ところが再稼働後に主軸駆動のモーターが過熱し、設備はそのまま半日ダウン——翌朝、ライン長は「昨日も少しうなる感じがあった」と振り返ります。※これは、私たちが現場でよくお見受けする状況を基にした架空の事例です。 EECの新設ラインやCNCの自動化投資が進む一方、国内市場の変動やEV関連の設備更新で、現場は「止めない」運用を求められます。だからこそ、耳や勘の“違和感”を、モーターの振動という客観的な数字へ置き換える準備が欠かせません。 ============================ ■突発停止の背景:勘に頼ると見落とす初期サイン ============================ モーターは負荷変動や高温多湿に晒されると、わずかな軸ずれ※やアンバランス※、据え付けの緩み、冷却ファンやベルトの劣化が“振動の癖”として現れます。けれど、耳での聴き分けや温度の手触りだけでは再現性がなく、交代勤務で共有もしづらいものです。とくに工作機械は切削条件の変更や治具交換が多く、“いつもと違う”が工程由来なのか、機械由来なのかを切り分けにくい環境。結果として、目視と休止で様子を見る判断が増え、初期サインを逃がしてしまいます。 私たちは、こうした“微小な変化”を数値で残し、傾向で判断できる状態づくりを最優先にご提案します。 ============================ ■「違和感」を“共通言語”に変える:数値で伝わるから止め方が変わる ============================ 音や感覚は人によって解釈が揺れます。対して、振動を数値化すれば、保全担当、製造、購買、そして外部の保全会社まで、関係者全員が同じ物差しで話せます。例えば「左側主軸モーターで特定方向の揺れが徐々に増えている」という“傾向”が見えれば、計画停止のタイミングを合意しやすくなり、部品手配や人員調整も前倒しに。結果として、突発停止は“短く・小さく”でき、停止は“まとめて・意図的に”に変わります。 昭和測器株式会社としては、あえて難しい計算や専門用語を前面に出さず、現場で扱いやすい尺度で“変化の見える化”を実現する考え方を大切にしています。数字は、現場の共通語。だから、会話が速く、意思決定も速くなります。 ============================ ■昭和測器の支援:最適な一台選びと、最初の使い方のコツ ============================ 「何をどこに、どのくらいの精度で測るか」は、設備と現場の運用で最適解が変わります。昭和測器株式会社では、CNCや搬送ファン、油圧ユニットなど“モーター起点”の設備を踏まえ、据え付け環境や周囲の振動の影響まで含めて、過不足のない一台を選ぶお手伝いをします。初期導入時は、数値の読み方や“普段の顔つき”の捉え方など、最初の使い方のコツを私たちがやさしくアドバイス。必要に応じて、現地の代理店とも連携し、お客様の立ち上がりを支えます。 昭和測器株式会社の役割は、最適な製品選定と正しい計測方法のアドバイス。予知保全の第一歩を、無理なく、今日の現場から始められるように設計します。私たちが目指すのは、“止まらない工場”ではなく、“止め方を選べる工場”。そのための共通言語づくりを、振動という数字からご一緒に。 ============================ ■最後に、私たちがお伝えしたいこと ============================ 突発停止をゼロにする魔法はありません。ただ、感覚の違和感を数字に変えると、止めるタイミングは選べます。昭和測器では、そのための最適な一台選びと最初の使い方を、現場目線でお手伝いします。 📩 記事下のEMIDASフォームからお問い合わせいただくか、PDFをダウンロードしてご確認ください。 ■ Download (PDF) 👉 MODEL-1332B:「モーターのベースラインを確立し、微小な違和感を数値で残すために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7283 👉 MODEL-2502:「稼働中の振動を常時監視し、突発停止を計画停止に変えるために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7284 👉 MODEL-2590C:「制御盤で数値を表示・警報化し、現場全員で共有するために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7535 ------------------------------------------------------------ 【監修】 昭和測器株式会社 営業部 振動計測アドバイザー 数値の“普段”を知ると、異常は自然に浮かび上がります。最初の1週間の平常データづくりが要です。 “気になる音”は記憶に残りません。気になったら、その場で一度測る。これが突発停止を減らす近道です。 ------------------------------------------------------------ 【用語解説】 軸ずれ※:モーター軸と結合相手の軸芯が一致せず、回転ごとに偏った力が生じる状態。 アンバランス※:回転体の質量分布の偏りにより、回転中に一定方向へ振れが出る状態。 据え付けの緩み※:固定ボルトや架台の剛性不足により、運転中に微小な動きが生じる状態。 EEC(東部経済回廊)※:タイ東部で進む産業集積プロジェクト。製造投資の優遇が特徴。 【参考文献】 Thailand’s Automotive Industry updates and 2025見通し(FTI動向・投資ニュース) タイのBEV販売動向 2025年上期の増勢(市場記事) タイEECの投資優遇策と産業集積の最新発表(政府・メディア) Intermach 2025に見るCNC自動化のトレンド(展示会レポート) タイ製造業の足元環境(PMI・市場概況の報道) 日本製工作機械の受注とタイ向け動向(業界統計のニュース) (作成日 : 2025-09-10)

モーターはなぜ突然止まる? P-F曲線の“P点”を振動データで捉える予知保全の実践

EEC(チョンブリー/ラヨーン)では、雨季の豪雨対策でポンプ・送風・冷却系の連続運転が常態化し、三相モーターの軸受やカップリングへの負荷が高まりやすい状況です。技術者にとっての課題は、P-F曲線※でいう「P(潜在故障)」の発生点を、ISO 10816※に整合したKPIで再現性高く掴むこと。誤検知を避けつつ、潤滑劣化・芯ずれ・不釣合い・ゆるみといった典型的モードを、電源再投入なしで運転中に同定できる仕組みづくりが本稿の焦点です。 ============================ ■ 典型モードを数値で切り分ける——軸受・芯ずれ・不釣合い ============================ 潜在故障の初期は、総合振動(mm/s RMS※)の微増として現れます。ここで「何が起点か」を見誤ると対策が遠回りになります。 ・不釣合い:回転一次(1×)成分が卓越。速度域で上昇し、位相は一様。 ・芯ずれ:1×に加え2×が顕著。軸方向の成分も相対的に増加。 ・転がり軸受の劣化:高周波帯にエンベロープで繰返しピーク(BPFO/BPFI※)。負荷変動で強弱。 ・機械的ゆるみ:サブハーモニクスやブロード化。 総合値のトレンド、周波数スペクトル(FFT※)、包絡解析の三点を揃えると、P領域の同定が安定します。雨季の湿潤環境では潤滑の膜厚が下がり、軸受由来の高周波成分が先行する傾向があるため、モーター台数の多い設備では高周波監視を“先行指標”に置く設計が有効です。 ============================ ■ しきい値設計の勘所——ISO 10816+運転実態で二段構え ============================ ISO 10816は、機械群と据付剛性に応じて振動評価ゾーンを提示します。これを**上限(ハードアラーム)としつつ、現場実測の平均±ばらつきから運転基準(ソフトアラーム)**を設け、二段で運用するのが実務的です。 ・立上げ後に30〜60分の定常帯をベースライン化。 ・台数が多いラインでは群管理を採用し、箱ひげや偏差スコアで外れ個体を抽出。 ・定期グリース後・芯出し後の戻り値をテンプレート登録し、整備品質のばらつきを可視化。 この枠組みなら、P領域のわずかな逸脱を“数字の会話”で共有できます。洪水・停電リスクが高い時期は、ポンプ群の負荷変動が大きくなるため、ソフト側は運転モード別に複数設定し、誤報を抑えるのがコツです。 ============================ ■ 昭和測器の役割——入門から群管理まで「最適な一台」を設計 ============================ 昭和測器株式会社では、ポンプ/送風機/冷却塔など回転機の実稼働を前提に、ISO 10816に沿った総合値+周波数解析を扱える計測器から選定します。携帯型での巡回監視から始め、必要に応じて常設ポイントを“要所だけ”増やす段階導入をご提案します。 昭和測器株式会社として、最初のKPI設計(総合値・高周波指標・群管理の偏差スコア)や、ベースライン取得の勘所をわかりやすくアドバイスします。現地の代理店とも連携し、EECの高湿・高負荷の運転実態に合う測定レンジや取り付け条件を一緒に整えます。 昭和測器株式会社は、“最適な一台を選ぶお手伝い”と“最初の使い方のコツ”に徹し、P領域の早期捕捉を日常点検へ落とし込みます。 ============================ ■ 最後に、私たちがお伝えしたいこと ============================ P-F曲線のPを逃さない仕組みは、停止ロスと無駄な電力を同時に削減します。まずは一台から、ISO 10816に沿ったKPI設計を私たちと始めてみませんか。 📩 記事下のEMIDASフォームからお問い合わせいただくか、PDFをダウンロードしてご確認ください。 ■ Download (PDF) 👉 MODEL-1332B:「据付直後のベースラインを確立し、P領域の微小な変化を捉えるために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7283 👉 MODEL-2502:「振動データを常時監視し、ISO 10816に整合したKPI運用に活かすために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7284 👉 MODEL-2590C:「制御盤で数値と警報を共有し、群管理で外れ個体を早期に特定するために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7535 ------------------------------------------------------------ 【監修】昭和測器株式会社 営業部 振動計測アドバイザー ・P領域は“高周波の微振動”が先に動きます。総合値だけでなく包絡も併用しましょう。 ・整備後の戻り値テンプレート化が、誤検知を最小化する近道です。 ------------------------------------------------------------ 【用語解説】 ・P-F曲線:潜在故障(P)から機能故障(F)までの時間軸で劣化進行を示す概念。予知保全の設計に用いる。 ・ISO 10816:回転機の振動測定・評価のための国際規格群。非回転部での測定に基づき評価ゾーンを定義。 ・RMS:実効値。時間波形のエネルギー量を表す指標で総合振動評価に用いる。 ・FFT:高速フーリエ変換。時間信号を周波数成分に分解する解析手法。 ・BPFO/BPFI:転がり軸受の外輪/内輪に起因する特徴周波数。エンベロープ解析で抽出されやすい。 ・群管理:多数台の設備を「相対比較」で監視し、外れ個体を抽出する手法。 【参考文献】 ISO 10816-3:2009 概要(非回転部での測定に基づく産業機械の評価基準)。 ISO 10816-3:2009/Amd 1:2017(改正版の位置付けと適用範囲)。 ISO 10816-1:1995 概要(一般ガイドライン:評価手順と条件)。 CBM Connect「ISO 10816-1/10816-3/20816-1 の適用に関する考察」。 Acoem USA「ISO 10816-3 振動シビアリティ表の理解」。 iTeh(ISO 10816-3:2009 PDF 抜粋サンプル:定義と評価ゾーン要旨)。 (作成日 : 2025-09-09)

水害・停電に強い工場へ:ポンプ・モーター異常の「振動データ」による早期検知入門

雨脚が強まった夕方、チョンブリーの工場で排水ポンプのモーター音がわずかに荒くなりました。担当者は「でも回っているし、問題なし」と判断。数時間後、軸受が焼き付きラインが停止。復旧と在庫の手当てに追われ、翌日の出荷に遅れが出ました。もしあの瞬間、耳ではなく「振動の数値」で状態を共有できていたら——私たちはそう考えます。 ※これは、私たちが現場でよくお見受けする状況を基にした架空の事例です。 ============================ ■ なぜ突然止まるのか——“見えない劣化”の正体を押さえる ============================ モーターは、外観がきれいでも内部では少しずつ「偏った力」が積み重なります。たとえば雨季の高湿や泥水の飛散で潤滑が傷み、ベルトの張力が変わり、芯出しがわずかにずれる。すると、回転のたびに小刻みな揺れが生まれ、軸受の負担が増します。耳には届かない変化でも、数値には素直に表れます。 「経験で何とかする」は、忙しい現場ほど限界が早く来ます。夜間や休日の少人数体制では、微細な変化を見逃しやすいからです。EEC各県では豪雨や局地的な冠水への備えが強化され、ポンプ・送風・冷却系の連続運転が増えています。だからこそ、止まる前の“静かなサイン”を逃さない仕組みが要ります。 ============================ ■ 感覚から「数値の共通言語」へ——保全と省エネを両立する ============================ 私たちが重視するのは、現場の会話を「数値の共通言語」に変えることです。振動の数値は、交代勤務の引き継ぎや、保全会社・ビル管理とのやり取りで誤解を減らします。 もう一つの効用は省エネです。軽微な芯ずれや潤滑不良でも、モーターは余計な電力を消費します。指定工場※ではエネルギー管理の体制が求められ、機器の状態を見える化する文化が広がっています。数値で「いつもと違う」を早く掴めれば、停止リスクと電力ロスの両方を同時に抑えられます。EECの水害・渇水対策が進む今、設備の“健康度”を見える化しておくことは、レジリエンスの基本装備です。 ============================ ■ 入門でも迷わない道具選び——昭和測器の役割 ============================ 初めての方ほど、「どのタイミングで、どの程度の精度が必要か」で悩みます。昭和測器株式会社では、搬送ファン、循環ポンプ、冷却塔のモーターなど、回転機の“現実の使われ方”を踏まえ、過不足のない一台を一緒に選びます。 最初の使い方のコツ(数値の見方や、日常点検への組み込み方)は、私たちが丁寧にアドバイスします。難しい専門用語を並べるのではなく、「現場で続けられる」ことを最優先に設計します。 さらに、昭和測器株式会社として現地の代理店とも連携し、納入や初期フォローをスムーズに進めます。EEC周辺の工場で増えるポンプ・送風・空調負荷に対して、入門機から始めて段階的に範囲を広げる進め方もご提案可能です。 数値が集まり始めれば、予知保全※の入り口に立てます。停止を“運”に任せず、根拠を持って止める・回すを選べるようになります。昭和測器株式会社は、その第一歩を安心して踏み出すための伴走役ではなく、「最適な一台を選ぶお手伝い」と「最初の使い方のコツ」を提供する最初の専門家です。 ============================ ■ 最後に、私たちがお伝えしたいこと ============================ 豪雨や停電リスクが高まる季節でも、モーターの状態を「振動の数値」で共有できれば、止まらない工場に近づきます。まずは一台から——昭和測器に相談して、最適な入口を見つけませんか。 📩 記事下のEMIDASフォームからお問い合わせいただくか、PDFをダウンロードしてご確認ください。 ■ Download (PDF) 👉 MODEL-1332B:「豪雨や停電リスク下でも、ベースラインを確立し小さな変化を見逃さないために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7283 👉 MODEL-2502:「ポンプや送風機を常時監視し、省エネと予知保全を同時に実現するために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7284 👉 MODEL-2590C:「制御盤で異常兆候を共有し、現場全員で早期対応するために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7535 ------------------------------------------------------------ 【監修】昭和測器株式会社 営業部 振動計測アドバイザー ・雨季のトラブルは“勢い”より“継続”の微振動に表れます。気になる音が出る前に、数値を一度見てみましょう。 ・数値は嘘をつきません。日常点検に小さな計測を足すだけで、止まる前のサインが見えてきます。 ------------------------------------------------------------ 【用語解説】 ・予知保全:異常の“前兆”を早期に把握し、計画的に手を打つ保全の考え方。 ・EEC:東部経済回廊。チョンブリー/ラヨーン/チャチューンサオを中心とする産業地域。 ・指定工場:エネルギー使用量が一定以上で、管理体制や報告などが義務付けられる工場区分。 ・MEPS:最低エネルギー性能基準。一定以下の効率の製品を市場に出さないための基準。 ・ラベリング制度(Label No.5等):高効率機器の選定を促すタイの省エネラベル。 ・低圧三相モーター:工場設備のポンプや送風機に多く使われる一般的な電動機。 ・潤滑不良/芯ずれ:摩擦や取り付けバランスの乱れにより、負荷や発熱が増える状態。 【参考文献】 World Bank が指摘するEEC域内の水資源確保負担と水管理投資の必要性に関する報道。 タイ東部を含む各県での洪水・土砂災害警戒に関する直近アラート。 EEC 事務局による水資源管理の官民連携(MOU)の動き。 EEC での治水・渇水対策に関する予算措置の報道。 指定工場・エネルギー管理(PRE)関連の制度情報(DEDE 公式 e-Service 等)。 PRE の任命や要件の概要(解説資料・ガイド)。 エネルギー効率ラベル(Label No.5)と高効率機器の普及に関する資料。 2025年の洪水リスクの見通し(La Niña 影響等)に関する調査ノート。 工業団地での洪水対策会議(アマタ・シティ・チョンブリー)の開催。 (作成日 : 2025-09-09)

ポンプ・ファンの“異音の前兆”を数値で管理:現場が決めるしきい値とアラーム設計

高温多湿・粉じん・雨季の負荷変動。タイの製造現場で回転機の保全を担当する皆さまが抱える環境要因は、振動トラブルの増幅要素になりやすい条件が揃っています。とくにポンプや送風ファンのモーターは、ラインの連続稼働と直結し、突発停止のインパクトが大きい設備です。 本稿では、現場担当者が実務で使える視点に絞り、「異音が出る前」に数値で兆候を捉え、装置・用途ごとに“自分たちの基準”を設計する方法論を整理します。背景には、EEC周辺での回転機メンテナンス需要の拡大や、データセンター/HVACの可用性要求の高まりがあります。これらの状況では、感覚ではなく数値の“共通言語”が保全判断の軸になります。 ============================ ■ なぜ“異音”まで待つと手遅れになるか ============================ 異音は、軸受※やカップリングのダメージが進んだ最終段階で表れやすいサインです。実際の劣化はもっと前、アンバランス※・芯ずれ※・緩み※・ソフトフット※・共振※といった一次要因の組合せとして始まります。さらにインバータ(可変速ドライブ)※の普及で回転数が広範に変化するため、従来の定速前提の点検間隔や“経験則の音”だけでは、初期の異常域を見落としやすくなります。 また、ベアリングの潤滑悪化やケーシングの締結力低下は、総合振動(RMS)※の微増→一定周期の変動→高周波成分の増加という順序で進むことが多く、音より先に「数値のパターン変化」に痕跡が残ります。だからこそ、音の発生を待たずに、早期の“数値の違和感”を拾う仕組みが必要です。 ============================ ■ しきい値は“規格の数字”ではなく“自分たちの現場値”で決める ============================ ISO 10816/20816※のゾーンは出発点に便利ですが、機種差・据付条件・運転点が多様な現場では、そのままでは過大・過小に働くことがあります。おすすめは次の設計思想です。 基準線(ベースライン)を確立する:据付直後または整備直後の安定運転で、RMS※を中心に正常レンジの分布を取り、季節差(雨季/乾季)と運転点(流量・回転数)の影響を把握します。 二段階アラームを使い分ける:早期注意(Trend)と要対応(Action)を分け、トレンド側は“平常からの偏差”で、アクション側は“絶対値+持続時間”で判定します。イベントの瞬間最大※だけでなく、持続と再現性を重視するのがコツです。 運転点連動を前提にする:VSD※や多段流量運転では、回転数帯ごとに基準線とアラームを切り替えます。特定帯域でのみ現れる共振※や機械的クリアランスの影響を、運転ログと合わせて“帯域別ルール”に落とし込みます。 P-F曲線※で早めに線を引く:検知(P)から機能喪失(F)までの猶予を、部品調達や人員確保に必要な日数から逆算し、Trend閾値を“早め”に設定します。結果として不要な停止が減り、計画保全の自由度が高まります。 ============================ ■ 昭和測器のアドバイス:装置と目的に合った“最適な一台”と、最初の運用設計 ============================ 昭和測器では、ポンプ・ファン・ブロワ・コンプレッサなど回転機の特性を踏まえ、据付条件・回転数レンジ・温湿度環境・清掃頻度といった現実の制約から逆算して、現場に合う振動計の選定をお手伝いします。過剰な多機能に偏らず、RMS中心の異常検知と帯域別の傾向把握が確実に回る構成を第一にご提案します。 また、昭和測器株式会社として、初期導入時は「ベースライン採取」と「二段階アラームの初期値」の作り方を具体的にアドバイスします。HVACのファン群やチラー循環ポンプのように台数が多い設備では、代表機の監視→モデル化→横展開の順に負担を抑えた立ち上げが効果的です。EEC周辺で増える連続操業ラインや、可用性重視のデータセンター設備についても、現地代理店と連携しながら“最初の使い方のコツ”まで伴走します。 昭和測器株式会社の役割は、あくまで最適な一台の選定と運用設計の初期ガイドです。既存のインバータやBAS/SCADAとの高度な連携が必要な場合は、現地のSI/保全会社と連携し、お客様の運用に無理なく馴染む形を一緒に整えます。結果として、“異音の前兆”を現場の数字で早く掴むことができ、突発停止の回避と計画保全の前倒しが現実になります。 ============================ ■ 最後に、私たちがお伝えしたいこと ============================ 異音を待たず、“現場の数値”でしきい値を育てていくことが、最短で止めない現場につながります。昭和測器では、装置と目的に合う最適な一台の選定と、はじめの設計づくりを責任をもってお手伝いします。 📩 記事下のEMIDASフォームからお問い合わせいただくか、PDFをダウンロードしてご確認ください。 ■ Download (PDF) 👉 MODEL-1332B:「据付直後のベースラインを確立し、異音より先に小さな兆候を捉えるために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7283 👉 MODEL-2502:「振動を常時監視し、現場独自の二段階アラームを実現するために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7284 👉 MODEL-2590C:「制御盤で数値と警報を共有し、ファン群やポンプ群の早期対応を支援するために」 (無料ダウンロード) https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7535 ------------------------------------------------------------ 【監修】 昭和測器株式会社 営業部 振動計測アドバイザー ・ベースラインづくりは“代表機から”。数字が安定したら横展開が最短ルートです。 ・アラームは“二段階+持続時間”。音ではなくトレンドで、早く・静かに手を打ちましょう。 ------------------------------------------------------------ 【用語解説】 ※軸受:回転軸を支持する部品。摩耗・潤滑不良で振動や発熱が増える。 ※アンバランス:回転体の質量偏り。回転数に比例した振動が増える。 ※芯ずれ:モーターと負荷の中心のずれ。軸受負荷増や異常加速度の原因。 ※緩み:締結部の弛み。広帯域の振動上昇や打音様成分の増加を伴うことがある。 ※ソフトフット:据付面の不整合で脚が浮く状態。芯ずれ・軸受負荷の誘因。 ※共振:機械の固有振動数付近で振幅が大きくなる現象。 ※可変速ドライブ(VSD/インバータ):回転数を柔軟に制御する装置。運転点ごとの基準・アラームを要する。 ※RMS(総合振動):振動のエネルギーの代表値。異常の早期検知に有効。 ※瞬間最大:ピーク/ピーク・トゥ・ピークなどの最大振幅指標。継続性のないスパイクは誤判定要因になる。 ※ISO 10816/20816:回転機械の振動評価に関する国際規格。設備条件に応じた適用が必要。 ※P-F曲線:劣化の検知点(P)から機能喪失(F)までの時間関係を示す考え方。 【参考文献】 タイ自動車産業の足元動向(EV販売拡大・生産推移の報道, 2025年8月)。 回転機メンテナンス需要の地域動向(ラヨーンにおけるサービス拠点新設, 2024年)。 タイにおけるデータセンター成長と冷却/HVACの拡大トレンド(業界メディア, 2025年)。 バンコク/タイのデータセンター投資計画(ハイパースケーラー関連報道, 2025年)。 HVACでのコンディションモニタリング適用(グローバル技術解説)。 タイ語での振動監視・測定の基礎解説(ローカル情報)。 タイ市場の動バランス/人材課題に関する市況レポート。 (作成日 : 2025-08-29)

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