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突発停止の“前兆”を数値で掴む——工作機械のモーター異常を稼働中に見抜く実務ガイド
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工作機械の現場では、主軸や送り、クーラントや油圧のポンプまで、大小のモーターが一日中回り続けます。高温多湿、切削液のミスト、微細な切粉。こうした環境は軸受やシールに負担をかけ、わずかな振動の変化が「P-F曲線※」でいう初期劣化の始点になります。問題は、その変化が耳や勘では拾いきれないほど小さく、気づいた時には生産計画が崩れる点です。
タイでは設備投資を促す制度が続く一方、需要変動の波も大きく、突発停止は想定以上の損失につながりがちです。だからこそ、稼働を止めずにモーターの健康状態を数値で把握する実務が、保全の主戦場になります。昭和測器株式会社として、私たちはその入り口をわかりやすく整理しました。
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■なぜモーターは壊れるのか——現場を悩ませる“見えない三重苦”
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モーター故障の多くは、①潤滑不全や汚染による軸受ダメージ、②芯出し不良やベース緩みの力学的な偏り、③インバータ※駆動に起因する共振※や電食といった電気機械連成、の三つが絡みます。高湿度や温度変動はグリースの劣化と腐食を速め、切削液や粉塵はシールを越えて内部に入り込みます。耳で感じる「音」や手で触れる「熱」は、F(機能喪失)にかなり近づいてから強く現れます。従来の定期点検だけでは、P(潜在故障の発生)直後の微細な兆候を捕まえにくいのです。
さらに、CNCの高応答化に合わせてモーターは負荷変動が激しくなり、瞬間的なトルク脈動や回転むらが発生します。これらは短時間・狭帯域の振動として現れるため、感覚では「ノイズ」に紛れてしまいます。結果として、ベアリングのピットやケージ損傷が進行してから異常に気づく——現場担当が最も避けたい展開です。
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■感覚から“共通言語”へ——振動を数値で持つことの効果
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私たちが重視するのは、「小さい変化を、同じ物差しで、同じ場所で」見ることです。加速度・速度といった単位系をそろえ、基準面※や設置状態を一定化すると、設備Aと設備B、今日と先月を公正に比べられます。これが保全・生産・品質の三者で通じる“共通言語”になります。
数値化の利点は三つ。第一に、P点直後のごく小さな変化でもトレンドとして積み上がるため、余裕を持った計画停止に変えられます。第二に、変動要因(季節湿度、稼働率、工具条件)を同じ尺度で評価でき、ムダなグリース補給や過剰分解を減らせます。第三に、ISOの振動評価指針※のような客観的な境界を参照しやすく、設備更新やBOIの投資判断の内部稟議が通しやすくなります。昭和測器株式会社では、この“共通言語化”を最短距離で実現する測定点の考え方と道具選びを、現場目線で提案します。
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■昭和測器ができること——最適な一台と、最初の一歩のコツ
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昭和測器株式会社は、はじめての振動数値化でも躓かないよう「使う人」「環境」「機械構造」の三点で設計します。例えば、高温多湿や切削ミストが厳しい現場には耐環境のセンサ選定と取り付け治具の工夫を、インバータ駆動モーターには電食※や共振帯域を意識した評価レンジを提案します。携帯型での定点巡回か、重要軸だけの常時監視か。OEEや段取りに響かない落としどころを、一緒に見つけます。
「最適な一台を選ぶお手伝いをします」「最初の使い方のコツをアドバイスします」。私たちはこの範囲に責任を持ちます。必要に応じて現地の代理店と連携し、据付やネットワーク構成など周辺事項はスムーズに橋渡しします。結果として、工作機械の主軸モーター、送り用サーボ、クーラント・油圧ポンプの“前兆”を、稼働中のまま見抜く体制が整います。タイ特有の高温多湿や需要変動の中でも、止めない、焦らない、ムダを出さない。昭和測器では、その第一歩を確かな手応えで支援します。
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■最後に、私たちがお伝えしたいこと
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突発停止の不安を“数値の安心”に変える設計から始めましょう。昭和測器株式会社が、現場に合った一台と運用の勘所をご提案します。
📩 記事下のEMIDASフォームからお問い合わせいただくか、PDFをダウンロードしてご確認ください。
■ Download (PDF)
👉 MODEL-1332B:「据付直後や定期点検時にベースラインを確立し、微小な変化を捉えるために」 (無料ダウンロード)
https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7283
👉 MODEL-2502:「稼働中のモーターを常時監視し、状態基準保全とKPI設計に活かすために」 (無料ダウンロード)
https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7284
👉 MODEL-2590C:「制御盤で数値を見える化し、異常兆候を現場で即時に共有するために」 (無料ダウンロード)
https://prime.nc-net.com/105994/ja/catalog/detail/7535
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【監修】昭和測器株式会社 営業部 振動計測アドバイザー
明日の点検から、同じ場所・同じ向き・同じ荷重条件で測る習慣を始めてください。トレンドは“整える”ほど価値が出ます。
高湿度の日は潤滑とシールの状態に一言メモを。数値に現れない違和感も、資産になります。
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【用語解説】
※P-F曲線:潜在故障(P)発生から機能喪失(F)までの時間経過を示すモデル。
※インバータ:交流モーターの回転数・トルクを可変制御する装置。電磁ノイズやスイッチング周波数の影響が振動に現れる場合があります。
※共振:外力の周波数と構造の固有振動数が一致し、振幅が増大する現象。
※基準面:測定値の比較に用いる取り付け面・測定点・姿勢の基準。
※ISOの振動評価指針:一般産業機械の実効振動値を等級化する国際標準群(例:ISO 10816/20816 など)。
※電食:モーター軸受に電流が流れ、表面損傷やフレーキングを引き起こす現象。
【参考文献】
- Thailand BOI: Extension to end-2025 of investment promotion packages(投資優遇の延長に関する公式発表).
- OSOS/BOI “Investment Promotion Guide 2025”(機械設備投資に関するガイド).
- Reuters: Thai auto sector reels from falling orders and soaring household debt(需要減速が製造業に与える影響の背景)。
- Reuters: Thailand approves incentives for auto-parts JVs; Hyundai EV investment(サプライチェーン再編と投資動向)。
- Nation Thailand: EEC関連の最新動向(産業集積の広がり)。
- MTD CNC: Thailand’s manufacturing sector faces challenges(生産指数と能力稼働の低下)。
- ORAPI Asia: Common causes of bearing failure(高湿度・汚染が軸受に与える影響)。
オラピア시아
- NSK Americas: Environmental considerations in bearing selection(湿度や温度に応じた対策の概説)。
(作成日 : 2025-09-10)
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