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水蒸気酸化被膜処理(ホモ処理)とは?特徴と用途を技術的に解説
製品情報
ホモ処理は、鉄鋼表面に水蒸気を用いた酸化被膜を形成する防錆処理。薬液を使わず環境負荷が少なく、寸法精度を保ったまま耐食性を高める処理方法です。
1. 水蒸気酸化被膜処理(ホモ処理)とは何か
ホモ処理(HOMO処理)とは、鉄鋼材料に飽和水蒸気を高温で当てることにより、表面に酸化鉄の保護膜(Fe₃O₄:マグネタイト)を形成する表面処理技術です。
薬液やメッキを使わず、環境にやさしく、部品の寸法変化が少ないことから、防錆目的の精密部品への処理として多く採用されています。
一般的な処理温度は300〜600℃程度で、部品の種類や用途に応じて時間と温度が調整されます。
2. ホモ処理の原理と生成される被膜構造
処理対象となる鉄鋼素材に対して、水蒸気が酸化反応を起こし、鉄表面にFe₃O₄(四三酸化鉄)の黒色酸化被膜が生成されます。この反応によって生じた皮膜は、化学的に安定しており、特に中性~弱酸性の環境で優れた耐食性を発揮します。
被膜の厚さは通常1〜2μm程度で、処理時間・温度によって変動します。外観は黒~灰黒色で、微細な結晶構造による光沢があり、機能性と意匠性の両立が可能です。
3. 防錆効果と他処理との違い
ホモ処理の最大の特徴は、寸法変化が極めて小さい状態で防錆性を付与できることです。これは高精度が要求される加工済み部品にとって大きな利点となります。
また、化成処理(黒染め)や亜鉛メッキと比較すると、以下のような差異があります:
- 黒染処理よりも膜厚がやや厚く、防錆性能も高い
- 亜鉛メッキのような犠牲防食性はないが、膜が剥がれにくく、外観も均一
- 液体薬品を使わないため、処理後の洗浄や廃液管理が不要
- 防錆油との併用で、屋外保管にも対応可能なレベルの防錆性が得られる
このように、寸法精度が求められる部品や環境配慮が必要な製造ラインにおいて、非常に適した処理方式です。
4. 処理条件と適用可能な素材・製品
ホモ処理は、以下の条件で実施されます。
処理温度は通常350〜500℃程度、処理時間は20〜90分ほどが一般的です。使用される炉は、高温水蒸気を安定供給できる加圧型や連続処理型が用いられます。
処理に適した素材は、炭素鋼、合金鋼、焼結鉄系材料などです。一方、ステンレスや非鉄金属には適しません。
代表的な適用製品は以下の通りです:
- ギア、シャフト、ベアリングなどの精密機械部品
- 切削工具、パンチ、金型プレート
- 自動車部品や建設機械用パーツ
- 輸送中や保管時に防錆性が必要な鉄製部品全般
外観品質が求められる可視部品にも活用される処理です。
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