SERVICE
生産財・サービス
精密部品設計に適したエンプラ素材の選び方
製品情報
Key Takeaways
• 高精度部品向けエンジニアリングプラスチックの選定には、寸法安定性、吸湿性、耐熱性、成形精度の評価が不可欠。
• LCP は極めて低い熱膨張と優れた流動性を持ち、薄肉・微細形状の部品に最適。
• PPS は高耐熱性・低吸湿性を兼ね備え、過酷環境でも高い寸法精度を維持。
• PEI は連続耐熱性、電気絶縁性、固有の難燃性、透明性を備える多機能材料。
• 適切な材料選定には、使用温度、形状、許容差、湿度条件、絶縁・難燃要求、金型設計などの総合評価が必要。
高精度部品の設計においては、電子機器、自動車システム、医療機器、産業機械など、わずかな寸法のずれでも性能に大きく影響する可能性がある。そのため、適切なエンジニアリングプラスチックの選定が非常に重要となる。この記事では、高精度用途で広く使用される LCP、PPS、PEI の特性を比較し、実際の生産現場で材料を選ぶ際の重要な指標をまとめる。
高精度部品に求められるエンジニアリングプラスチックの条件
高精度部品向けの材料は、以下の特性を備えている必要がある:
• 寸法安定性:成形時・使用時に変形しにくい
• 低吸湿性:膨張や機械特性の変化を抑制
• 耐熱性:高温下でも強度と形状を維持
• 高精度成形性:微細形状の射出成形や精密加工に対応
これらの条件を満たす代表的な材料が LCP、PPS、PEI である。
LCPの特性と用途
• 熱膨張係数が極めて低く、金属に近いレベル
• 流動性が非常に高く、薄肉・微細形状の成形に最適
• 優れた寸法安定性と機械的強度
• ガラス繊維などの補強材との相性が良い
主な用途: コネクタ、センサーカバー、微小医療部品
特長: 高温多湿環境でも安定し、金型摩耗の低減にも寄与する。
PPSの特性と用途
• 最大 200°C、連続使用で 180°C 程度の耐熱性
• 非常に低い吸湿性 → 寸法が変わりにくい
• 高強度・難燃性・自己消火性
• 複雑形状でも成形しやすい
主な用途: 自動車ECUハウジング、ポンプ部品、精密ギア
特長: 高温環境下で高精度を求められる用途に最適。
PEIの特性と用途
• 170〜180°C の連続耐熱性
• 優れた電気絶縁性とクリープ特性
• 添加剤なしで UL94 V-0 の難燃性
• 高強度・寸法安定性・透明性
主な用途: 航空機部品、医療機器、ICトレー、コネクタ
特長: 高精度と美観の両方が求められる用途に適する。
材料選定時の重要チェックポイント
LCP、PPS、PEI を選ぶ際は以下を確認する必要がある:
• 実際の使用温度範囲および連続使用温度
• 形状、肉厚、要求公差
• 使用・保管環境の湿度
• 絶縁性または難燃性の要求
• 金型構造、成形性、生産コスト
技術データだけでは不十分であり、実際の使用環境 と 成形プロセスの制約 を合わせて検討すべきである。
まとめ
LCP、PPS、PEI はそれぞれ独自の特性と利点を持ち、高精度用途に適した材料である。熱、湿度、形状、加工条件を総合的に評価することで、品質向上、歩留まり改善、部品寿命の延長を実現できる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
❓ FAQ
Q1: なぜ LCP は微細部品に適しているのか?
A: 極めて低い熱膨張、高い流動性、優れた寸法精度を兼ね備えているため。
Q2: PPS が適する代表的な用途は?
A: 高温環境で高精度が要求される ECU やポンプ部品、精密ギアなど。
Q3: PEI は PPS や LCP とどう違う?
A: PEI は高い耐熱性、電気絶縁性、固有の難燃性に加え、透明性と高強度を併せ持つ。
📚 Glossary
LCP: 寸法安定性と流動性に優れた液晶ポリマー
PPS: 高耐熱・低吸湿で精密部品向けのエンジニアリングプラスチック
PEI: 高耐熱・高絶縁・難燃性を備えた多用途材料
寸法安定性(Dimensional Stability): 熱や湿度環境でも形状を維持する能力
UL94 V-0: 高レベルの難燃性能を示す規格
#精密部品 #エンプラ #LCP #PPS #PEI #耐熱樹脂 #寸法安定性 #精密成形 #工業用樹脂 #射出成形
CONTACT
お問い合わせ