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射出成形における材料選定と性能最適化のポイント
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Key Takeaways
• 適切な樹脂選定は、射出成形における品質・安定性・コスト効率に直結する。
• 樹脂選択の基準には、強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性、表面仕上げ性が含まれる。
• ガラス繊維、カーボン繊維、難燃剤、UV吸収剤などの添加剤は、特定性能を向上させる。
• 成形条件は材料特性に合わせて設定する必要があり、とくに PBT や PA など高結晶性樹脂では冷却制御が重要。
• 温度・圧力・射出速度・冷却バランスを適切に制御することで、不良削減と工程安定性を高められる。
安定した高品質の射出成形を実現するには、用途に合った樹脂を選定し、その材料特性に合わせて成形条件を最適化することが不可欠である。本記事では、樹脂特性と成形条件の関係を踏まえ、品質向上・不良削減・長期的なコスト最適化に役立つ工学的観点を整理する。
樹脂選定の重要性
樹脂の特性は成形品の品質に直接影響する。不適切な材料を選ぶと、変形、不安定な収縮、強度不足などが発生し、品質管理が困難になる。したがって、使用環境に適した樹脂を選ぶことは、射出成形品質の最重要基盤となる。
樹脂選定の基準
一般的に使用される熱可塑性樹脂には以下がある:
• PP: 軽量・低コストで汎用部品に適する
• PC: 高透明・耐衝撃性が必要なクリア部品に適する
• ABS: 表面外観が良好で成形しやすい
検討すべき主要特性:
• 機械的強度(引張強度・衝撃強度)
• 寸法安定性・収縮挙動
• 耐熱性
• 耐薬品性
• 表面仕上げ性(色、質感、光沢)
添加剤による材料性能の向上
添加剤の活用により、樹脂性能を大幅に強化できる:
• ガラス繊維 / カーボン繊維: 強度向上・反り抑制
• 難燃剤(FR): 電子部品用途での安全性向上
• UV吸収剤: 日光による劣化防止
樹脂改質により、一般的なプラスチックでも特定用途向けの性能を発揮させることができ、要求の厳しい産業にも対応できる。
材料に適した成形条件の設定
適切な樹脂を使用しても、成形条件が合わなければ不良が発生する:
• 加熱不足 → ショートショット
• 圧力過多 → バリ発生
• 冷却不均一 → 反り
重要な設定項目:
• 溶融温度
• 金型温度
• 射出速度
• パッキング時間
特に PBT や PA のような高結晶性樹脂は、結晶化が寸法や収縮に大きく影響するため、冷却プロセスの精密な管理が不可欠である。
まとめ
適切な材料を選び、その樹脂特性に合わせて成形条件を最適化することは、不良削減と安定した生産の鍵となる。材料挙動の理解が深まることで、工程全体の最適化がより効果的に行える。
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❓ FAQ
Q1: 誤った樹脂を選ぶとどうなる?
A: 変形、収縮の不安定化、強度不足などが発生し、品質に直接悪影響を及ぼす。
Q2: ガラス繊維はどのように材料性能を改善する?
A: 強度向上、反り抑制、寸法安定性の向上に寄与する。
Q3: 高結晶性樹脂はなぜ厳密な冷却管理が必要?
A: 結晶化速度が収縮・寸法安定性・最終品質に大きく影響するため。
📚 Glossary
熱可塑性樹脂(Thermoplastic Resin): 繰り返し溶融・固化できる樹脂
難燃剤(Flame Retardant): 樹脂の耐火性能を高める添加剤
パッキング時間(Packing Time): 金型内の圧力保持時間
UV吸収剤(UV Absorber): 紫外線による劣化を防ぐ成分
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