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プラスチック射出成形でよくある問題とその対処法
製品情報
Key Takeaways
• 射出成形で頻発する不良は、フローマーク、エアトラップ/ボイド、ワーページ、バーンマーク、ショートショットの5つが代表的である。
• 多くの問題は、温度・射出速度・圧力・ガス抜き・流路設計の不適切さに起因する。
• 射出速度、樹脂温度、Pack/Hold Pressure などの条件調整により、不良を大幅に削減できる。
• 肉厚不均一やガス抜き不足などの構造的問題は、金型設計レベルでの改善が必要。
• 不良の症状・原因・対策を体系的に理解することで、生産効率向上と金型寿命の延長が可能となる。
射出成形では、フローマーク、エアトラップ、ワーページ、バーンマーク、ショートショットといった品質不良が繰り返し発生することが多い。これらは生産効率の低下、廃棄ロスの増加、金型寿命の短縮につながる。この記事では、各不良の特徴・原因・改善策を整理し、現場で即応できる形でまとめている。
1. 問題:フローマーク(Flow Mark)
特徴: プラスチックの流れ方向に沿って、波状や線状の跡が製品表面に現れる
原因: 射出速度が低い、樹脂温度不足、ランナー・ゲート設計の不適切さ
対処法:
- 射出速度を適切に調整する
- 金型または溶融プラスチックの温度を上げる
- ランナーやゲートの流路設計を見直し、滑らかでバランスの良い構造にする
2. 問題:エアトラップおよびボイド(Air Trap & Void)
特徴: 製品内部に空洞がある、または表面が滑らかでない(空気の閉じ込めによる)
原因: ガス抜き不良、圧力不足、樹脂量が足りない
対処法:
- 金型の通気口を確認し、十分であるかをチェックする
- パックまたはホールド圧力を上げる
- 各ショットにおける充填量のバランスを調整する
3. 問題:反り・変形(Warping)
特徴: 射出後に製品が反ったり、ねじれたり、形状が崩れたりする
原因: 冷却不均一、圧力差、肉厚の不均一
対処法:
- 金型の温度を均一に調整する
- 製品設計を見直し、できるだけ均一な厚みにする
- 冷却時間を適切に確保する
4. 問題:バーンマーク(Burn Mark)
特徴: 流れの末端に黒または茶色の焦げ跡が現れる
原因: 金型内の空気滞留、射出速度過多、ガス抜き不足
対処法:
- 射出速度を下げる
- 通気口を追加または改善する
- システム内に残材がないか確認する
5. 問題:ショートショット(Short Shot)
特徴: 製品が完全に成形されず、一部が欠けている
原因: 射出圧不足、樹脂粘度が高い、流路が狭い
対処法:
- 射出圧または速度を上げる
- 材料温度を上げて流動性を高める
- ゲートやランナーを製品サイズに合わせて拡張する
まとめ
射出成形不良は、外観症状とプロセス条件の関連性を理解することで原因特定が容易になる。温度・速度・圧力・ガス抜き・金型設計を適切に調整することで、不良の低減、品質の安定化、生産性向上が可能となる。
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❓ FAQ
Q1: フローマークの主因は何か?
A: 射出速度不足、温度不足、または流路設計の不適切さが主因。
Q2: ショートショットはなぜ起こるのか?
A: 射出圧不足、樹脂粘度過多、流路狭小が原因として挙げられる。
Q3: ワーページを抑えるには?
A: 金型温度の均一化、肉厚均一設計、冷却時間の確保が有効。
📚 Glossary
Flow Mark: 不均一な樹脂流動により表面に生じる波状模様
Air Trap: 金型内に滞留した空気による空洞・表面欠陥
Warping: 冷却不均一や圧力差による変形
Burn Mark: 空気圧縮・高剪断などで生じる黒/茶色の焼け痕
Short Shot: 射出不足等によって金型に樹脂が満たない状態
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