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生産財・サービス
冷間工具鋼|工具を強靭かつ長寿命にする特殊材料
製品情報
Key Takeaways
• 冷間工具鋼は、室温〜200°C以下で使用される工具に最適で、高硬度・高耐摩耗性が求められる用途に適している。
• 主成分は高炭素(0.6〜2.5%)に加え、クロム・バナジウム・モリブデンを含み、AISI 規格では D / A / O / W グループに分類される。
• 特徴は「高硬度」「優れた耐摩耗性」「熱処理後の高い寸法安定性」の3点。
• D2/D3、A2、O1 など用途に適した鋼種を選定することで、工具寿命の延長と生産性向上が可能。
• 適切な焼入れ・焼戻しを行うことで、58〜65 HRC の硬さを実現できる。
冷間工具鋼(Cold Work Tool Steel)は、室温または200°C以下の環境で使用される工具向けに設計された高機能鋼材であり、高い硬度、耐摩耗性、寸法安定性を兼ね備えています。製造業では、切削工具、金型、プレス型、ゲージなど、衝撃や摩擦が繰り返し加わる部品に広く使用されます。鋼種の特性・成分・選定方法を理解することで、工具交換頻度の削減、生産性向上、長期コストの最適化が可能になります。
冷間工具鋼の特徴と成分
冷間工具鋼は、高炭素(0.6〜2.5%)をベースに、クロム、バナジウム、モリブデンなどの元素を添加し、焼入れ性・耐摩耗性・寸法安定性を高めています。これらの元素が形成する硬質炭化物により、工具は長時間にわたり鋭さと形状を維持できます。
AISI 規格による分類
AISI(American Iron and Steel Institute)では、冷間工具鋼を以下の4グループに分類しています。
• D 系(高炭素・高クロム鋼):D2、D3 など。耐摩耗性が非常に高く、重負荷用途に適合。
• A 系(空気焼入れ鋼):A2、A4 など。空気冷却で焼入れ可能で、熱処理後の寸法変化が小さい。
• O 系(油焼入れ鋼):O1、O2 など。硬さと靱性のバランスが良く、汎用工具に広く使用される。
• W 系(水焼入れ鋼):W1 など。低コストで、軽負荷用途に適している。
用途に応じた鋼種選定のポイント
• 高い耐摩耗性が必要なケース(厚板プレス、連続切断など) → D2 / D3
• 寸法精度が重要なケース(ゲージ、精密金型) → A2
• 高靱性とコストバランスを重視(一般工具、切削工具) → O1
よくある誤解と注意点
• 冷間工具鋼は高温でも使用できる → 実際には 200〜300°C を超えると性能が低下。高温用途には 熱間工具鋼(Hot Work Tool Steel) が必要。
• 硬いほど性能が良い → 硬度が高すぎると脆性破壊のリスクが上昇。実際の荷重条件に合った硬度と靱性のバランスが重要。
• 冷間工具鋼は熱処理なしでも使える → 未焼入れ材は 15〜25 HRC 程度で、工具としては不十分。焼入れ・焼戻しが必須。
冷間工具鋼は、室温〜200°C以下で使用される各種工具・金型の核心材料です。高硬度・耐摩耗性・寸法安定性が特徴であり、用途に応じた鋼種選定(D2=重負荷、A2=高精度、O1=汎用)と適切な熱処理により、工具寿命の延長、性能向上、生産コスト削減が実現します。
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❓ FAQ
Q1:冷間工具鋼と一般鋼材の違いは?
A:冷間工具鋼は炭素量と合金元素が多く、焼入れ後に 58〜65 HRC の高硬度を得られます。一般鋼材は 30〜40 HRC 程度が限界です。
Q2:D2 と O1 はどう使い分ける?
A:D2 は耐摩耗性最優先の重負荷用、O1 は靱性とコストバランスに優れ、一般工具向けです。
Q3:保管方法は?
A:乾燥した場所で防錆油を塗布し、湿気を避け、長期保管の場合は防錆紙や除湿保管を推奨します。
📚 Glossary
• D 系 / 高炭素高クロム鋼:耐摩耗性が非常に高い
• A 系 / 空気焼入れ鋼:熱処理後の寸法変化が小さい
• O 系 / 油焼入れ鋼:硬さ・靱性のバランスが良い
• W 系 / 水焼入れ鋼:低コストで軽負荷用途向け
📖 References
• AISI Steel Products Manual
• JIS G 4404 – 合金工具鋼
• ASM Handbook Vol.1
• Metals Handbook: Heat Treating – ASM International
• 工業材料(大学教科書)
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Updated: 2025-12-02
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