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フィルター材としてのメルトブローン不織布の利点と限界
製品情報
微細な繊維構造が高性能ろ過を可能にするメルトブローン不織布。微粒子除去から医療分野まで幅広く活用されるこの素材の性能を、技術的視点から明確に解説します。用途に適した選定のために、利点だけでなく制約条件についても把握しておきましょう。
メルトブローン不織布とは
メルトブローン不織布(Meltblown Nonwoven Fabric)は、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を加熱・溶融し、微細なノズルから高圧空気で吹き出すことで直径1〜5マイクロメートル程度の極細繊維を形成し、ランダムに堆積・結合させてシート状に加工したものです。
スパンボンド不織布と異なり、繊維径が細かく、繊維間の空隙が小さいため、粒子捕集性能が非常に高いのが特長です。
フィルター材としての利点
① 高い粒子捕集効率
メルトブローン不織布は、物理的フィルターとしてだけでなく、帯電処理(エレクトレット加工)を施すことで静電気による微粒子吸着が可能となります。これにより、PM2.5やウイルス、バクテリアなどの微細粒子も高効率で捕集できます。
② 通気性と圧力損失のバランス
繊維がランダムに配置される構造により、空気の流れをある程度保持しながらも高いろ過性能を実現しています。これにより、マスクやエアフィルター用途でも呼吸しやすく、機械負荷を抑えることが可能です。
③ 薄く軽量で加工性が良い
製品として非常に軽量で、折り曲げや裁断が容易です。各種成形加工との親和性も高く、複合フィルターや立体構造への応用が進んでいます。
メルトブローン不織布の限界と課題
① 強度が低く、単体使用に向かない
繊維同士の結合が弱く、引っ張りや摩擦に対する耐久性に欠けるため、通常はスパンボンドなどの不織布と積層する形で使用されます。特に単層での構造体としての使用は推奨されません。
② 湿気や水分に弱い
ポリプロピレン素材自体は撥水性があるものの、構造的に吸湿しやすいため、湿度の高い環境や液体フィルターとして使用する際は性能が低下する場合があります。また、静電気によるろ過性能も湿気の影響で劣化しやすく、保管や使用条件に注意が必要です。
③ 静電気性能の劣化
エレクトレット処理によって向上した静電吸着性能も、経時的に低下することがあります。特に高温や紫外線に晒される環境では、性能の持続性が課題となることがあります。
利用分野と用途例
- 医療用マスク(サージカルマスク、N95等)
- 空気清浄機・エアコン用フィルター
- クリーンルーム用フィルターパネル
- 自動車用キャビンフィルター
- 工業用集塵装置のプレフィルター
これらの用途において、メルトブローン不織布は他の素材では得られない微粒子捕集性能が求められる場面で使用されています。
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❓ FAQ
Q: なぜメルトブローンはマスクに多用されるのですか?
A: 繊維が極細で静電捕集も可能なため、ウイルスや PM2.5 を捕集しつつ呼吸しやすいためです。
Q: 湿気の多い環境で使用できますか?
A: 推奨されません。湿気により静電性能が低下し、ろ過効率が落ちます。
Q: スパンボンド層を追加する必要がありますか?
A: 強度が必要な用途では必要です。特にマスクの多層構造で一般的です。
📚 Glossary
Meltblown Nonwoven(メルトブローン不織布): 極細繊維を用いた不織布
Electret Treatment(エレクトレット処理): 静電帯電による捕集性能の向上
Spunbond(スパンボンド): 強度補強に用いる太めの不織布
Pressure Drop(圧力損失): フィルター通過時の空気抵抗
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