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医療用マスクのBFE/PFE試験とは?評価基準と測定方法
製品情報
医療用マスクの性能評価において欠かせない「BFE(細菌ろ過効率)」と「PFE(微粒子ろ過効率)」。本記事では、それぞれの測定方法、評価基準、試験装置の違いまで、技術的な観点から詳しく解説します。
BFEとPFEの基礎知識
BFE(Bacterial Filtration Efficiency)は、マスクが細菌をどれだけ捕集できるかを示す指標です。試験には一般的に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が使用され、粒子径は約3.0μmです。
一方、PFE(Particle Filtration Efficiency)は、ウイルスサイズに近い微粒子(0.1~0.3μm)をどれだけろ過できるかを評価する指標です。試験粒子としてはポリスチレンラテックス(PSL)などの合成微粒子が使われます。
この2つの値は、医療現場での感染対策製品としての信頼性を判断するうえで極めて重要な性能項目です。
評価基準と各国の規格
BFEとPFEの評価には、国際的な規格に基づいた基準が設けられています。
例えば、アメリカのASTM F2100では、レベル1でBFEとPFEの基準が95%以上、レベル2とレベル3では98%以上が求められています。使用目的によって要求レベルが異なり、手術や感染症対応など高リスクな場面ではレベル3の性能が推奨されます。
ヨーロッパのEN 14683では、Type Iが95%以上、Type IIおよびType IIRでは98%以上のBFEが求められます。Type IIRは、耐液性の試験にも合格しているタイプです。
日本ではJIS T 9001が採用されており、ASTMやENに準じた基準で運用されています。医療用途で使用するためには、これらの基準を満たすマスクであることが不可欠です。
BFE測定方法の概要
BFE試験は、細菌エアロゾルをマスクに通過させ、その前後の細菌数を比較することでろ過効率を評価します。
試験には、ネブライザーで生成した細菌ミストを使用し、一定の流量(通常28.3L/分)でマスクに通します。マスクを通過した細菌は、段階的なインパクター(アンダーセン式)で捕集され、その後培養してCFU(コロニー数)をカウントします。
これにより、マスクが通過させた細菌数と、通過前の細菌数から除去率(BFE値)を計算することができます。
PFE測定方法の概要
PFE試験では、非生物粒子(主にポリスチレンラテックス)を用いて、マスクの微粒子捕集性能を評価します。
試験粒子の粒径は一般的に0.1μmまたは0.3μmで、専用の粒子発生装置から一定の流量でマスクに送られます。前後の粒子濃度は、レーザー式粒子計測器などで測定され、そこからPFE(ろ過効率)が算出されます。
この試験は、マスクがウイルスサイズの粒子をどれだけ遮断できるかの目安となるため、感染対策において重要な評価項目です。
測定における注意点と再現性確保
BFEやPFEの試験結果は、試験環境や機器の設定、サンプルの取り扱いによって大きく変わることがあります。正確な測定のためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
まず、マスクは試験前に温湿度(21±5℃、85±5%RH)の環境下で4時間以上保管してから測定する必要があります。これは、実使用環境を想定したコンディショニングの一環です。
また、マスクの固定には、漏れや隙間が生じないよう注意が必要です。装置の流量や粒子計測器の校正も、測定誤差を防ぐうえで不可欠です。さらに、使用する試験粒子の品質(粒径の均一性や濃度の安定性)にも注意を払う必要があります。
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❓ FAQ
Q: BFE と PFE の違いは?
A: BFE は約 3µm の細菌を使用し、PFE は 0.1〜0.3µm の合成粒子で微細粒子の捕集性能を評価します。
Q: なぜ試験前に温湿度調整が必要なのですか?
A: 材料を安定させ、規格に準拠した精度の高い測定結果を得るためです。
Q: Andersen インパクターとは?
A: BFE 試験で使用される多段式のエアロゾル捕集装置です。
📚 Glossary
BFE: 細菌ろ過効率
PFE: 微粒子ろ過効率
PSL: PFE 試験で使用される合成粒子
CFU: コロニー形成単位
Andersen Impactor: 多段式エアロゾル捕集器
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