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メルトブローン不織布とスパンボンドの違い
製品情報
―製造技術・繊維径・機能性の視点から見た不織布の選び方―
不織布とは何か?基礎からおさらい
不織布(nonwoven fabric)は、繊維を織らずに結合させた構造のシート状材料です。繊維同士をランダムに絡み合わせたり、熱や圧力、接着剤などで結合させることで作られます。その製造法にはいくつか種類がありますが、特に工業的に多く使われているのが「スパンボンド法」と「メルトブローン法」です。
これらの製法は使用する樹脂(主にポリプロピレン)が同じであることが多いものの、製造工程や繊維の細さ、得られる不織布の機能には明確な違いがあります。
スパンボンド不織布の特徴
スパンボンド法では、溶かした樹脂をノズルから細長いフィラメント状に押し出し、空気で引き伸ばして冷却・固化し、シート状に成形します。この方法で作られる繊維は比較的太く、直径は10〜30ミクロン程度です。
そのため、得られる不織布は機械的強度が高く、耐久性と寸法安定性に優れています。繊維の並びも比較的整っているため、表面が滑らかで扱いやすいのが特徴です。
スパンボンド不織布は、衣料品の裏地、医療用ガウン、農業用シート、建材、パッケージ材料など、強度や通気性を求められる場面で多く利用されています。
メルトブローン不織布の特徴
一方、メルトブローン法では、溶融樹脂を微細ノズルから押し出し、そこに高温・高速のエアを吹きかけて、樹脂を一気に極細化して繊維化します。このとき得られる繊維径は1〜5ミクロンと非常に細かくなり、表面積が広く、三次元構造による高密度なシートが形成されます。
このような微細構造により、微粒子の捕集性能に優れ、特にマスクや空気清浄機、液体フィルターなど、フィルタリング機能を必要とする用途で使用されています。また、静電処理を施すことで微粒子の吸着効果を強化することも可能です。
ただし、スパンボンドに比べると機械的強度は劣るため、単体で構造材として使用するのは難しく、他の不織布と組み合わせて使われることが一般的です。
どちらを使うべきか?選定の考え方
不織布の用途に応じて、スパンボンドとメルトブローンのどちらが適しているかは明確です。構造強度、引張強度、寸法安定性を求める場合はスパンボンドが適しています。例えば包装材やガウン、防護服の外層などではスパンボンドがよく使われます。
一方で、フィルター性能や微粒子の除去を目的とする場合はメルトブローンが最適です。マスクの中間層やHEPAフィルター、医療用フィルター素材などでは、メルトブローン不織布の性能が発揮されます。
また、スパンボンドとメルトブローンを積層した「SMS不織布」などの複合構造も広く用いられており、これにより両者の特性を併せ持つ高機能材料が実現されています。
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❓ FAQ
Q: スパンボンドがメルトブローンより強い理由は?
A: 繊維が太く、均一に配列されているため、機械的強度が高い。
Q: メルトブローンはどのような用途に最適ですか?
A: 微粒子のろ過が必要な用途(医療用マスク、HEPA フィルター、液体フィルターなど)。
Q: SMS 材料とは何ですか?
A: スパンボンド・メルトブローン・スパンボンドの 3 層構造で、強度と高ろ過性能を両立する不織布。
📚 Glossary
Nonwoven(不織布): 編み・織り工程を使わず繊維を結合したシート状材料
Spunbond(スパンボンド): 太い繊維で構造強度に優れた不織布
Meltblown(メルトブローン): 超極細繊維で高いろ過性能を持つ不織布
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