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生産財・サービス
旋削・フライス・穴あけ加工の違いと使い分け
製品情報
1. 機械加工とは何か
機械加工とは、金属や樹脂などの素材に対し、切削や研削などの方法で形状や寸法を加工する技術です。CNC(コンピュータ数値制御)による自動化も進み、現在では高精度・高効率の加工が求められる中、加工方式の選定は品質とコストの両面で重要な要素となっています。中でも代表的な加工方式が「旋削」「フライス」「穴あけ」の3種類です。
2. 旋削加工(Turning)の特徴と用途
旋削加工は、ワーク(被削材)を回転させながら固定工具(バイト)を当てて素材を削る加工方式です。旋盤を使用し、軸物などの円筒形状の加工に適しています。
主な用途:
- 外径・内径の仕上げ
- 端面加工
- 円筒部品の段付き加工やテーパー加工
特長:
- 対称形状において高い同心度が得られる
- 加工効率が高く、量産にも対応可能
- 外径、内径、端面の連続加工が可能
注意点:
- 非回転対称の形状には不向き
- 工具摩耗や熱変形への配慮が必要
3. フライス加工(Milling)の特徴と用途
フライス加工は、ワークを固定し、回転するフライスカッターで切削を行う方式です。平面加工だけでなく、溝や輪郭加工などにも対応できる汎用性の高い加工方法です。
主な用途:
- 平面仕上げ
- キー溝加工、T溝加工
- 凹凸形状や段差のある部品加工
特長:
- 多軸制御により複雑形状も加工可能(特にマシニングセンタ)
- 切削条件の最適化により高効率加工が可能
- 切りくず排出性がよく、工具寿命を延ばしやすい
注意点:
- セットアップが複雑になりやすい
- 工具選定・切削条件により加工品質に差が出やすい
4. 穴あけ加工(Drilling)の特徴と用途
穴あけ加工は、ドリル工具を用いてワークに垂直方向に穴を開ける最も基本的な加工法の一つです。特に下穴や取付用の穴加工として多用されます。
主な用途:
- ボルト穴、ピン穴などの通し穴加工
- リーマ加工前の下穴加工
- センター穴の作成
特長:
- 単純構造で効率が良い
- 加工コストが低く、工具も多種多様
- 機械化・自動化が容易
注意点:
- 穴の深さや径の精度には限界がある
- 深穴の場合、切りくず排出や芯ブレに注意が必要
- 高精度な穴は後加工(リーマ・ボーリング等)を要することがある
5. 加工方法の使い分けと工程設計の考え方
加工方法の選定は、単に形状や寸法に基づくだけでなく、工程設計全体のバランスを考慮して行うことが求められます。複数の加工方法を組み合わせて部品を完成させるケースがほとんどであり、以下のような観点が重要となります。
- ワークの材質と形状に適した加工法を選定
- 加工精度と公差に応じた工程順序の設定
- 設備能力(旋盤・MC・ボール盤など)の把握
- 工数削減と歩留まり向上を意識した段取り
例えば、旋削で外径加工を行い、次工程でフライスによる側面加工、最後に穴あけ加工でネジ穴を作成する、といった流れが一般的です。これにより、品質の安定と生産性の両立が実現されます。
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