SERVICE
生産財・サービス
HACCPとは?食品衛生管理の基本を解説
製品情報
―科学的管理手法に基づく食品の安全確保と品質向上のための必須知識―
1. HACCPとは何か
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、食品の製造・加工・流通における安全性を科学的根拠に基づいて管理する衛生管理手法です。日本語では「危害要因分析および重要管理点方式」と訳されます。
従来の「最終製品検査」による品質保証とは異なり、HACCPでは原材料の受け入れから製造、包装、出荷に至る全工程において、食品に対する\-\-危害(Hazard)の発生を予測し、それを防ぐための重要管理点(CCP)\-\-を定め、継続的に監視・記録していく仕組みです。
この方式は1960年代にアメリカで宇宙食の安全確保のために開発され、現在では国連の食品規格委員会(Codex)で国際標準とされ、日本でも2021年6月からすべての食品等事業者にHACCPに基づく衛生管理が義務化されました。
2. HACCPの7原則と12手順
HACCPの運用は、以下の7原則と、それに基づく12手順によって構成されます。
【HACCPの7原則】
1. 危害要因の分析(Hazard Analysis)
2. 重要管理点の設定(CCPの決定)
3. 管理基準(CL)の設定
4. CCPの監視方法の設定
5. 是正措置の設定
6. 検証方法の設定
7. 記録と文書管理
3. HACCPが対象とする「危害要因」
HACCPで分析される危害要因は、大きく以下の3種類に分類されます。
- 生物的危害:細菌(サルモネラ、リステリア)、ウイルス(ノロウイルス)、寄生虫など
- 化学的危害:残留農薬、アレルゲン、洗剤成分、重金属など
- 物理的危害:金属片、ガラス片、異物混入など
これらを原材料、工程、作業者、設備などの視点から洗い出し、発生リスクの高い箇所を重要管理点(CCP)として設定し、モニタリングと対策を講じることでリスクを最小化します。
4. HACCP制度化の背景と企業への影響
日本ではかつてHACCPの導入は任意でしたが、食品安全基本法の改正により、2021年から原則すべての食品関連事業者にHACCP対応が義務付けられました(小規模事業者は「HACCPの考え方に基づく衛生管理」で対応可)。
これにより企業は、記録管理や検証手順の整備、文書化、従業員教育など、新たな体制構築を迫られています。特に多品種少量生産の中小工場では、帳票管理の煩雑さや工程変更時の対応が課題となるケースが多いです。
また、輸出を目指す企業や大手量販店との取引では、HACCP対応が品質保証の前提条件となることも増えており、対応の遅れは競争力の低下につながる可能性があります。
CONTACT
お問い合わせ